札幌で相続手続き・遺言相談をお探しなら北日本相続センター

0120-279-565
平日9:00~18:00(土日祝休み)

親が遺言書を作りたがらないときの切り出し方|家族関係を壊さない伝え方

「まだ早い」「縁起でもない」「財産を狙んでいるのか」──。
大切なお父さん、お母さんに相続の準備を切り出そうとしたとき、こんな言葉で拒まれた経験はありませんか。

でも実は、令和5年司法統計の家事調停データでは、遺産分割事件のうち遺産額5,000万円以下の事案が7割を超えています[1]。相続トラブルは「資産家の話」ではなく、ごく普通のご家庭だからこそ起こる問題です。にもかかわらず「遺言書をつくってほしい」という一言は、距離のある親とのあいだで、家庭の空気を壊してしまう危険をはらんでいます。

本記事は、法務省・日本公証人連合会・裁判所の一次情報をもとに、親と遺言相談を「関係を壊さずに」始めるための順番と表現、そして公的な保管制度・専門家への相談タイミングを整理したものです。読み終える頃には、「何から話し、どの場面で第三者に相談するか」が具体的にイメージできるようになります。

親が遺言書を作りたがらない理由

死を連想させることへの抵抗感

親にとって遺言書は、自分の死を認める書類のように感じられることがあります。元気に生活している時期に突然「遺言を書いて」と言われれば、不快感や不安を抱くのも自然です。親と遺言相談を始める際は、死亡後の話だけでなく、今後の暮らしや財産管理を安心して続けるための準備として説明しましょう。

財産を狙われていると感じる不安

子どもが財産の分け方から話し始めると、親は「自分のお金を当てにされている」と警戒する可能性があります。特定の不動産や預貯金の取得を希望するような発言は避け、親自身の希望を確認することが目的だと伝える必要があります。最初から遺産分割案を提示せず、親の考えを聞く姿勢こそが、後悔を残さない家族関係を守る第一歩です。

最初から「遺言書を書いて」と言わない

介護や入院の希望から話し始める

親と遺言相談を自然に始めるには、「入院したとき誰に連絡してほしい?」「介護が必要になったら、どこで暮らしたい?」など、生活に近い質問が有効です。任意後見や財産管理、医療、死後事務の希望を整理する流れから、遺言の必要性へ話題を広げると、親も自分の問題として考えやすくなります。

知人やニュースの事例をきっかけにする

親族や知人の相続、報道された遺産分割トラブルをきっかけに、「うちではどうしたい?」と尋ねる方法もあります。ただし、不安をあおったり、「遺言がないと必ず争う」と断定したりしてはいけません。令和5年司法統計の第52表「遺産分割事件のうち認容・調停成立件数(遺産の価額別)」では、遺産額5,000万円以下の事案が全体の約76%を占めています[1]。相続問題は資産家だけの問題ではなく、誰にでも起こり得る身近なものだという事実を、押しつけにならない形で共有しましょう。

親のための準備だと伝える

「子どもが困る」より「希望を守りたい」

「遺言がないと私たちが困る」と伝えるより、「お父さん、お母さんの希望をきちんと守りたい」と話すほうが受け入れられやすくなります。遺言は、子どもが財産を受け取るためだけの書類ではありません。不動産を誰に引き継ぐか、法定相続人以外に財産を遺すかなど、本人の意思を示す役割があります。

家族へのメッセージも残せると説明する

遺言書には、財産の分け方に加えて「付言事項」として家族への想いや分け方を決めた理由を書くことができます。付言事項そのものには通常は法的拘束力がありませんが、遺産分割への納得感を高める材料になります。生前贈与をした子どもがいる場合など、家族が疑問を持ちそうな事情を説明しておくことも考えられます。

遺言書の前に財産目録を作る

預貯金や不動産の一覧から始める

親が遺言書に抵抗を示す場合は、財産目録の作成から始めましょう。金融機関名、預貯金、土地・建物、保険、有価証券、借入金などを整理するだけでも、将来の相続手続や相続税の確認に役立ちます。「誰に渡すか」ではなく、「何がどこにあるか」を確認する作業なら、親も受け入れやすい傾向があります。

エンディングノートを活用する

エンディングノートには、医療、介護、葬儀、連絡先、デジタル資産などの希望を幅広く記録できます。ただし、一般的なエンディングノートだけでは財産の承継方法を法的に指定できません。まず気持ちを整理し、その内容を踏まえて公正証書遺言や自筆証書遺言を検討するという段階的な進め方が適切です。

▼ 表1:遺言書とエンディングノートの違い

項目遺言書(自筆/公正)エンディングノート
法的な効力あり(民法に規定)なし(参考情報)
財産の承継指定可能(法定相続分と異なる配分もできる)不可
検認の要否自筆=必要(法務局保管なら不要)/公正=不要不要
主な記載内容財産の分け方・執行方法・付言事項医療・介護・葬儀・連絡先など希望
主な使い分け法的拘束力のある意思表示気持ちの整理・家族への伝言

遺言書の選択肢を分かりやすく伝える

自筆証書遺言の特徴

自筆証書遺言は、民法第968条により原則として本文・日付・氏名を本人が自書し、押印して作成します。2019年1月13日の相続法改正により、財産目録についてはパソコンでの作成や登記事項証明書・通帳コピー等の別紙添付が認められています[2]。ただし、別紙の財産目録には各ページへの署名・押印が必要で、形式上の不備があると希望どおりの効力が認められない可能性があります。親と遺言相談を行う際は、作成方法まで確認しましょう。

公正証書遺言の特徴

公正証書遺言は、公証人が本人の意思を確認して作成する遺言です。原則として証人2人の立会いが必要ですが、本文を本人が手書きする必要はありません。日本公証人連合会の統計によれば、令和7年(2025年)には全国で12万3,891件の遺言公正証書が作成されており、近年は増加傾向にあります[3]。自筆が負担になる高齢者や、内容を慎重に整えたい場合の有力な選択肢です。自筆証書遺言と公正証書遺言は、家庭状況や財産内容を踏まえて選びます。

法務局の遺言書保管制度も検討する

紛失や改ざんのリスクを抑えられる

自筆証書遺言書保管制度を利用すると、法務局で遺言書の原本と画像データが管理されます。自宅保管による紛失、廃棄、改ざんなどのリスクを抑えられる点がメリットです。制度は令和2年(2020年)7月10日に開始され、2025年(令和7年)7月時点で累計保管申請件数は101,968件、2025年(令和7年)12月末時点では111,740件に達しました[4]。申請手数料は1通3,900円で、遺言者本人がお近くの法務局に出頭して手続きを行います[5]。保管期間は遺言者の死亡時までで、相続人への通知サービスの指定も可能です。

家庭裁判所の検認が不要になる

民法の規定により、自宅で発見された自筆証書遺言は家庭裁判所で検認を受けなければなりません[6]。一方、法務局に保管された自筆証書遺言については検認が不要で、相続人は速やかに遺言の内容を実行できます。ただし、法務局は遺言内容の法律相談や有効性の保証をする機関ではありません。内容に不安がある場合は、作成前に専門家へ相談することが重要です。

▼ 表2:自筆証書遺言・公正証書遺言・法務局保管制度付き自筆証書遺言の3者比較

項目自筆証書遺言公正証書遺言法務局保管制度付き自筆証書遺言
作成コスト紙・印鑑など実費のみ公証人手数料(目的価額により数千〜数万円)紙・印鑑代+保管手数料 3,900円/1通[5]
作成場所自宅など(作成に立会不要)公証役場(証人2人の立会いが必要)自筆作成→お近くの法務局へ
本文の自書義務あり(全文自書が原則)不要(公証人がパソコンで起案)あり(全文自書が原則)
財産目録のPC作成可(各ページに署名押印)[2]可(各ページに署名押印)[2]
原本の保管自宅など公証役場で永久保管法務局で原本+画像データ保管[4]
家庭裁判所の検認必要[6]不要不要
紛失・改ざんリスク高い非常に低い非常に低い
形式チェック自己責任公証人が厳格に確認法務局職員が外形チェック(有効性は別途要確認)
主なメリット費用がかからず気軽に作成できる無効リスクが極めて低い自宅保管リスクを排除+検認不要
主なデメリット形式不備で無効になる可能性費用・証人の確保が必要法務局へ出頭が必要
こんな人に向く緊急に作成したい人/低コストで始めたい人納得感のある遺言にしたい人/夫婦で同時に作成したい人自宅で失くしたくない人/相続人に確実に発見してほしい人

避けるべき切り出し方

財産額や取り分から質問しない

「預金はいくらあるの?」「自宅は私に相続させて」など、取り分を前提にした質問は、親の不信感を強めます。兄弟姉妹の一人だけが親と遺言相談を進めると、後から他の相続人に疑念を持たれることもあります。親の意思決定を尊重し、必要に応じて中立的な専門家を交えて進めることが大切です。

判断能力の低下を決めつけない

「認知症になる前に早く書いて」と急かす表現も避けましょう。遺言は、本人が内容を理解し、自分の意思で作成する必要があります。任意後見や死後事務、生前贈与など、高齢期に必要な選択肢も含めて、本人が落ち着いて選べる環境を整えることが、結果的に円満な相続の準備につながります。

▼ 表3:親へ切り出す際の【NG発言】と【OK発言】の対比

シーン【NG発言】避けたい言葉【OK発言】使いたい表現
初発の話題「そろそろ遺言書を書いたほうがいいよ」「お父さんの、もしものときの希望を聞かせてもらえる?」
財産の話「通帳にいくら入ってるの?」「自宅は私にちょうだい」「将来の手続きに備えて、財産の一覧を一緒に整理してみない?」
理由を伝える「遺留分や揉め事の防止のために」「お父さんの希望をきちんと残して、家族で迷わないようにしたい」
時期を促す「認知症になる前に早く書いて」「元気なうちに、希望をまとめておくと安心だよ」
死後の話題「死んだときに備えて」「万一入院したとき、介護が必要になったときのこと」
専門家相談「一緒に窓口に行こうか」「書くかどうかは後で決めればよくて、無料相談で選択肢だけ聞いてみない?」

専門家を交えるタイミング

親子だけで結論を出そうとしない

不動産が複数ある、相続人同士の関係が複雑、相続税が心配、過去に多額の生前贈与があるといった場合は、早い段階で専門家に相談しましょう。子どもが説明すると財産目的と受け取られても、第三者が制度を客観的に説明することで、親が冷静に判断できる場合があります。

家族相談ではなく親本人の相談にする

相談の主役は、あくまで遺言を作成する親本人です。子どもが内容を決めたり、特定の相続人に有利な案を押し付けたりすることは避けなければなりません。北日本相続センターでは、親の意向を確認しながら、遺言、公正証書、財産目録、任意後見、死後事務などを整理するご相談を受け付けています。

親と遺言相談を始める具体的な言葉

責めずに希望を尋ねる例

「遺産の話がしたいわけではなく、万一のときにお父さんの希望どおりにしたいんだ」「入院や介護のことも含めて、一度希望を聞いておきたい」と伝えてみましょう。親が拒否した場合は、その場で説得し続けず、「必要になったら一緒に考えよう」と話を終えることも大切です。

無料相談を一緒に利用する例

「書くかどうかを決める前に、どんな方法があるかだけ無料相談で聞いてみない?」という誘い方なら、親の心理的負担を抑えられます。遺言書を作成しない選択も含めて説明を受け、親自身が必要性を判断できる場を設けましょう。親と遺言相談を成功させる鍵は、結論を急がないことです。

札幌・北海道全域対応、金沢・富山などの北陸エリア対応の北日本相続センターでは、家族関係や財産状況を伺い、遺言・相続準備の進め方をご案内しています。

初回無料相談のご案内

親に遺言書の話をどのように切り出せばよいか迷っている方は、北日本相続センターへご相談ください。遺言書を無理に勧めるのではなく、ご家族の状況や親御様の気持ちに配慮しながら、必要な準備を一緒に整理します。

【初回無料相談受付中】お気軽にお問い合わせください。

※本記事は一般的な制度・手続に関する情報を提供するものであり、個別案件への法的・税務的判断を保証するものではありません。具体的な遺言、相続税、遺産分割、生前贈与については、個別相談で確認してください。

参考文献(一次情報)

[1] 裁判所「司法統計年報 第52表 遺産分割事件のうち認容・調停成立件数(遺産の価額別)」(令和5年版) https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/shihotokei_nenpo/index.html [2] 法務省「第968条 自筆証書遺言(03 遺言書の様式等についての注意事項)」 https://www.moj.go.jp/MINJI/03.html [3] 日本公証人連合会「令和7年の遺言公正証書の作成件数について」 https://www.koshonin.gr.jp/news/nikkoren/yuigon2025.html [4] 法務省「自筆証書遺言書保管制度」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html / 政府広報オンライン「自筆証書遺言書保管制度が始まります」 https://www.gov-online.go.jp/article/202009/entry-7835.html(2025年7月時点累計101,968件、12月末時点111,740件) [5] 法務省 申請手数料は1通3,900円(遺言書保管制度) https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html [6] 民法第1004条(遺言書の検認) https://www.moj.go.jp/MINJI/07.html

相続コラム

COLUMN

PAGE TOP