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身寄りが少ない方の終活で大切な死後事務委任とは?必要になる場面と準備の進め方

身寄りが少ない方や、おひとり暮らしの方の中には、
「自分が亡くなった後の手続きは誰がしてくれるのだろう」
「親族に迷惑をかけたくないけれど、何から準備すればよいかわからない」
と、漠然とした不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

終活というと、遺言書や相続の準備を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実際には、亡くなった後には、葬儀・納骨・役所への届出・住まいの片付け・各種契約の解約など、数多くの手続きが発生します。こうした実務面の不安に備える手段の一つが、死後事務委任契約です。

この記事では、身寄りが少ない方にとって死後事務がなぜ重要なのか、遺言や任意後見との違い、準備しておきたい事項を、できるだけわかりやすく整理して解説します。

近年は65歳以上の一人暮らしの方が増えており、内閣府「令和7年版高齢社会白書」では、65歳以上人口に占める一人暮らしの割合は、令和2年時点で男性15.0%、女性22.1%、将来推計では令和32年に男性26.1%、女性29.3%になると見込まれています。身寄りが少ない方の終活では、相続だけでなく、亡くなった後の手続きを誰に託すかまで考えておくことがますます重要です。 Source

身寄りが少ない方の終活で死後事務が重要な理由

亡くなった後の手続きは、自動では進みません

人が亡くなると、葬儀、火葬、納骨、病院や施設への支払い、住まいの明け渡し、公共料金や携帯電話などの解約、関係者への連絡など、さまざまな事務が発生します。

親族が近くにいて協力が得られる場合は対応しやすいこともありますが、身寄りが少ない方や親族と疎遠な方では、誰が対応するのかが曖昧なままになりやすいのが実情です。だからこそ、生前のうちに「どの手続きを、誰に、どこまで任せるか」を整理しておくことが大切です。

遺言だけではカバーしにくいことがあります

遺言は、主に「誰にどの財産を承継させるか」を示すためのものです。一方で、葬儀の手配、住まいの片付け、行政上の届出、各種サービスの解約といった実務は、遺言だけでは十分に対応しきれないことがあります。

そのため、終活では

  • 遺言で財産の承継を整理する
  • 死後事務委任で亡くなった後の実務を整理する

というように、役割を分けて準備する視点が重要です。

死後事務委任契約とは何か

亡くなった後の手続きを、あらかじめ託しておく考え方です

死後事務委任契約とは、本人が亡くなった後に必要となる事務について、生前のうちに信頼できる第三者へ依頼しておくための契約です。

たとえば、次のような事項が検討対象になります。

  • 葬儀や火葬、納骨に関する手続き
  • 病院・施設・大家さんなどへの連絡
  • 住まいの片付けや明け渡し
  • 公共料金や携帯電話、各種会員サービスの解約
  • 医療費や施設利用料などの精算

身寄りが少ない方にとっては、「もしもの後」を任せる相手を生前に決めておけることが大きな安心につながります。

任意後見は「生前の支援」、死後事務は「死亡後の支援」です

ここで混同しやすいのが、任意後見との違いです。法務省によると、任意後見制度は、本人が十分な判断能力を有する時に、将来判断能力が不十分になった場合に備え、任意後見人となる人や委任する事務の内容を、公正証書による契約で定めておく制度です。さらに、任意後見契約は、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から効力が生じます。 Source

つまり、

  • 任意後見:認知症などで判断能力が低下した後の生活・財産管理に備える
  • 死後事務委任:亡くなった後の手続きに備える

という違いがあります。

公正証書で整理しておくと説明しやすくなります

法務省は任意後見契約について、公正証書による契約で定める制度だと案内しています。死後事務そのものについても、内容を明確にし、後日の説明をしやすくする観点から、遺言や任意後見とあわせて整理を検討するケースがあります。 Source

死後事務が必要になりやすい主な場面

葬儀・火葬・納骨の希望を残したいとき

「家族葬にしたい」
「納骨先を決めておきたい」
「呼んでほしい人を限定したい」

このような希望があっても、口頭で伝えただけでは、亡くなった後に十分反映されないことがあります。葬儀や供養の希望、連絡先、費用の準備方法まで整理しておくことで、本人の意向に沿って進めやすくなります。

賃貸住宅や施設の退去・精算が心配なとき

おひとり暮らしの場合、亡くなった後には次のような実務が発生しやすくなります。

  • 賃貸住宅の解約
  • 家財や遺品の整理
  • 施設や病院の費用精算
  • 明け渡しや原状回復に関する対応

親族が遠方にいる場合には、現地対応そのものが負担になることもあります。あらかじめ委任内容を整理しておくことで、周囲の負担軽減にもつながります。

各種契約やサービスの解約が多いとき

近年は、公共料金だけでなく、携帯電話、インターネット、動画配信、サブスクリプションサービスなど、解約や停止が必要な契約が増えています。これらを放置すると、不要な費用が発生し続けることもあるため、死後事務として整理しておく意義があります。

遺言・死後事務委任・任意後見の違い

死後事務の相談では、「遺言があれば十分ではないか」「任意後見とは何が違うのか」と迷われる方が少なくありません。まずは役割の違いを一覧で確認しておきましょう。

役割の違いを比較した一覧表

制度・手段主な目的主に対応する場面代表的な内容押さえたいポイント
遺言財産の承継先を決める死亡後誰に何を相続・遺贈するか財産の分け方を示す中心的な手段
死後事務委任亡くなった後の実務を託す死亡後葬儀、納骨、連絡、住まいの片付け、各種解約、費用精算など財産承継ではなく「手続きの実行」を整理する
任意後見判断能力低下後の支援に備える生前(判断能力低下後)財産管理、生活や療養看護に関する事務公正証書で契約し、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から効力が生じる Source

死後事務として検討しやすい主な内容

実際にどのような事務を整理しておくとよいのか、代表例をまとめると次のとおりです。

死後事務として委任内容になりやすい手続き一覧

分類具体例事前に決めておきたいこと
葬儀・供養葬儀の形式、火葬、納骨、永代供養葬儀の希望、納骨先、連絡先、予算
関係者への連絡親族、友人、勤務先、大家、施設などへの連絡誰に、どの順番で、どこまで知らせるか
住まいの整理賃貸住宅の解約、家財整理、明け渡し残してほしい物、処分方針、鍵の保管
費用精算病院、施設、家賃、公共料金などの精算引落口座、支払先、必要書類
各種解約電気・ガス・水道、携帯電話、ネット回線、会員サービス契約一覧、ID・利用先のメモ
書類の整理重要書類、保険関係書類、通帳等の確認保管場所、一覧表の作成

※実際にどこまで委任内容として整理するかは、個別事情に応じた検討が大切です。

相続税や財産目録の準備もあわせて考えましょう

相続税は「基礎控除額」を超えるかどうかが一つの目安です

国税庁によると、相続税は正味の遺産額が基礎控除額を超える場合に申告・納税が必要です。基礎控除額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で計算します。 Source

身寄りが少ない方でも、不動産や預貯金がある場合は、相続税の要否を早めに確認しておくことが大切です。

財産目録があると、全体像を整理しやすくなります

終活では、財産目録を作成しておくと、相続人や受任者が財産や負債の状況を把握しやすくなります。記載しておきたい代表例は次のとおりです。

  • 預貯金
  • 不動産
  • 保険
  • 株式・投資信託など
  • 借入金
  • 未払い費用
  • 毎月発生している固定支出

死後事務と相続は別のテーマですが、実際には密接に関係します。だからこそ、死後事務だけでなく、財産の見える化も同時に進めることが重要です。

生前に準備しておきたいこと

連絡先リストを整理しておく

亡くなった後には、親族、友人、寺院、施設、大家さん、保険会社、金融機関など、さまざまな関係先へ連絡が必要になります。

  • 連絡してほしい人
  • できれば連絡しなくてもよい人
  • 葬儀に呼んでほしい人
  • 遺品の扱いについて伝えたいこと

こうした内容を、できるだけ具体的に残しておくと安心です。

任意後見や遺言と一体で考える

身寄りが少ない方の終活では、1つの制度だけで十分とは限りません。たとえば、

  • 判断能力低下への備え:任意後見
  • 財産承継の整理:遺言
  • 亡くなった後の実務対応:死後事務委任
  • 財産の把握:財産目録

というように、役割を整理して組み合わせることで、将来の不安をより具体的に減らしやすくなります。

相談先を選ぶときのポイント

相続と終活を一体で見られるかを確認しましょう

死後事務の相談は、葬儀や片付けだけの話では終わりません。相続、遺言、相続税、任意後見、財産目録などが関係することも多いため、全体を見渡して整理できる相談先かどうかが大切です。

地域事情に配慮できるかも安心材料です

札幌や北海道、金沢や北陸エリアなどでは、遠方不動産、空き家、納骨先、親族が道外・県外にいるケースなど、地域事情を踏まえた対応が必要になることもあります。実務を具体的にイメージしながら相談できる相手を選ぶと、準備を進めやすくなります。

まとめ:身寄りが少ない方は「亡くなった後」まで設計しておくことが大切です

身寄りが少ない方の終活では、財産を誰に渡すかだけでなく、亡くなった後に必要となる手続きを、誰に、どこまで託すかを明確にしておくことが重要です。

とくに、

  • 葬儀や納骨の希望を残したい
  • 親族に負担をかけたくない
  • 住まいの片付けや各種解約が心配
  • 生前から相続や財産管理も含めて整理したい

という方にとって、死後事務委任は有力な選択肢の一つになります。

北日本相続センターでは、相続、遺言、死後事務、任意後見、財産目録作成など、将来に備えるご相談を承っています。
初回無料相談受付中です。まずは現状の不安やお悩みを整理するところから、お気軽にご相談ください。

※本記事は一般的な情報です。制度の利用可否や契約内容の設計は、個別事情によって異なります。最終判断は専門家へのご相談をおすすめします。

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