再婚・事実婚・内縁パートナーを守るための生前対策とは?
再婚・事実婚・内縁のパートナーがいるご家庭では、「誰に・どの財産を・どのように残すか」を早めに決めることがとても重要です。とくに事実婚や内縁のパートナーは法律上の相続人ではないため、何も再婚相続対策をしないままご本人が亡くなると、長年連れ添ったのに自宅から出ていかざるを得ないケースもあります。
本記事では、再婚家庭の相続と生前対策の基本的な考え方から、遺言や公正証書、生前贈与、任意後見、死後事務、財産目録の作り方まで、実務感覚も交えながら解説します。
再婚家庭の相続と生前対策がなぜ重要なのか
再婚・事実婚・内縁で起こりやすい相続リスク
再婚家庭で相続対策が必要になる典型的なパターンは、前婚の子どもと今のパートナーがいるケースです。法律上、前婚の子も現婚の子も同じ相続人となり、遺産分割の場面で感情的な対立が起こりやすくなります。さらに、事実婚や内縁パートナーには相続権がないため、相続対策をしていないと、自宅名義が亡くなった方の単独名義だった場合に「相続人である子どもから退去を求められる」といった事態も起こり得ます。こうしたリスクを減らすには、早いタイミングで相続・遺言・生前贈与などを組み合わせた相続対策を検討し、パートナーや子どもと情報共有しておくことが欠かせません。
相談が増える背景
札幌をはじめとする北海道の各地域や金沢・富山エリアでは、親世代から受け継いだ不動産や、地元に残したままの実家の土地建物など、地域特有の資産構成も多く見られます。こうした財産は評価や管理が難しく、相続税や固定資産税の負担も絡むため、相続対策を何もしていないと、残された家族が遺産分割で苦労することになります。「札幌の自宅と実家の土地をどう分けたらよいか」「金沢にいる前婚の子と、今一緒に暮らす内縁の妻の双方を守りたい」といったご相談が多く寄せられています。
再婚家庭・事実婚家庭の家族構成を整理する
法定相続人と相続順位を確認する
再婚相続対策の出発点は、誰が法定相続人になるのかをきちんと整理することです。前婚の子ども、今の配偶者、事実婚・内縁のパートナー、親や兄弟など、関係者を書き出してみると、自分では想像していなかった人が相続人になることもあります。とくに、婚姻届を出していない内縁パートナーは相続人ではない一方で、前婚の子どもは相続人となるため、「一緒に暮らしていない子どもが大きな持分を取得し、今のパートナーが不安定な立場になる」という状況が生まれやすくなります。相続対策では、まず相続の基本ルールを押さえたうえで、誰にどれくらい財産を残したいかを考えることが大切です。
財産目録を作って全体像を見える化
家族構成の整理と並行して行いたいのが、財産目録の作成です。預貯金、不動産、有価証券、自社株、生命保険、退職金見込み、借入金など、すべての財産と負債を書き出して一覧にします。札幌の自宅、北海道の地方の実家の土地、金沢のマンションなど、複数の地域に不動産がある場合は、所在地や名義、ローンの残高も明記しておきましょう。財産目録があると、「自宅はパートナーへ、預貯金の一部は前婚の子へ」といった具体的な相続対策を検討しやすくなりますし、相続税がかかりそうかどうかの概算にも役立ちます。北日本相続センターでは、初回無料の相談時から財産目録のひな形を用い、わかりやすく整理できるようお手伝いしています。
パートナーを守るための遺言・公正証書
自筆証書遺言と公正証書遺言の違い
再婚相続対策の中心となるのが遺言です。なかでも、今の配偶者や事実婚・内縁のパートナーを守りたい場合、どの形式で遺言を作るかが重要なポイントになります。自筆証書遺言は費用を抑えて手軽に作れる一方で、日付や署名、押印、財産の書き方などに不備があると無効になるおそれがあります。さらに、家庭裁判所での検認手続きが必要で、相続人同士が顔を合わせる場面が増え、感情的対立を生むリスクも否定できません。これに対して、公証役場で作成する公正証書遺言は、公証人が法律上の形式をチェックしてくれるため安心感が高く、原本が公証役場に保管されるため紛失の心配もほとんどありません。再婚相続対策では、トラブルを防ぐ意味でも公正証書遺言を選ぶケースが多くなっています。
公正証書遺言で事実婚パートナーを守るポイント
事実婚や内縁パートナーを守る再婚相続対策では、公正証書遺言で住まいと生活資金の確保を明確にしておくことが大切です。たとえば「札幌市内の自宅建物をパートナーに遺贈し、土地は子どもと共有にする」「預貯金のうち○○万円を事実婚の配偶者に遺贈し、残りを子どもたちで遺産分割する」といった形で具体的に指定します。また、遺言執行者として専門家を指定しておけば、相続人同士が直接やり取りせずに手続きを進めることができ、感情的な衝突を減らしやすくなります。相続税の配慮も必要なため、公正証書作成にあたっては税理士とも連携しながら、無理のない再婚相続対策を組み立てることが重要です。
生前贈与と保険を組み合わせた相続対策
生前贈与で子ども間の公平感を高める
再婚相続対策では、遺言だけに頼らず、生前贈与を活用しておくことで、子ども同士の公平感を高めることができます。たとえば、前婚の子には早めに住宅取得や開業資金の援助を行い、現婚の子には教育資金として計画的に生前贈与を行う、といった方法です。その際、口約束だけで進めてしまうと後から「本当に贈与だったのか」「貸していただけなのではないか」といった争いになることもあります。できれば毎回贈与契約書を作成し、必要に応じて公正証書にしておくと、将来の遺産分割で特別受益として整理しやすくなり、相続対策全体の透明性が高まります。
生命保険・退職金で生活資金を確保する
生命保険や死亡退職金は受取人を指定できるため、事実婚パートナーの生活資金を相続と別枠で確保するうえで、相続対策と相性のよい制度です。例えば、生命保険の受取人を内縁の妻に指定し、子どもたちには不動産・預貯金を中心に残す形をとれば、それぞれにとって納得しやすい分け方になりやすいでしょう。ただし、死亡保険金や退職金の金額によっては相続税の課税対象となる場合もあるため、全体として過度な税負担にならない相続対策を検討する必要があります。
子ども同士の遺産分割トラブルを防ぐ方法
前婚・現婚の子ども間で起こりやすい争点
再婚家庭の遺産分割では、前婚と現婚の子ども同士の価値観の違いが表面化しやすくなります。たとえば、「親の介護をどちらがどれだけ担ったのか」「再婚相手との関係性はどうだったのか」「生前贈与の有無をどう評価するか」といった点です。さらに、自宅や実家など、分けにくい不動産が相続財産の多くを占める場合、誰が住み続けるか・売却するかをめぐって意見が対立しがちです。こうした背景を踏まえると、相続対策では、単に法定相続分どおりに分けるのではなく、家族の事情を考慮した遺産分割の方針をあらかじめ示しておくことが重要だといえます。
遺産分割協議を見据えた事前準備
遺産分割の場面でトラブルを減らすための再婚相続対策として、「見える化」と「想いの言語化」が有効です。具体的には、公正証書遺言で分け方の大枠を決めると同時に、その理由や背景を「家族への手紙」の形で残しておく方法があります。「なぜ事実婚パートナーに自宅を残すのか」「なぜ前婚の子どもには生前贈与を優先したのか」といった説明があるだけで、受け止め方が大きく変わります。また、財産目録や重要書類をまとめたファイルを作成し、必要書類を整理しておけば、相続開始後の手続きもスムーズに進みやすくなります。これらはすべて、将来の争いを防ぐ相続対策の一部といえます。
任意後見・死後事務委任まで含めた総合設計
任意後見契約で判断能力低下に備える
相続対策では、「亡くなったとき」だけでなく、認知症などで判断能力が低下したときの備えも不可欠です。任意後見契約は、将来、自分で判断することが難しくなった場合に備え、財産管理や介護施設との契約手続きなどを任せたい人をあらかじめ決めておく制度です。事実婚や内縁のパートナーを任意後見人候補とすることもできますし、子どもや専門職後見人と役割分担をすることも可能です。契約内容を公正証書にしておけば、家庭裁判所の監督のもとで適切な支援を受けることができ、パートナーや家族の負担軽減にもつながります。任意後見を組み込んだ相続対策を行うことで、老後の不安を大きく減らすことができます。
死後事務委任契約で葬儀・納骨・届出を託す
死後事務委任契約は、亡くなった後の葬儀・納骨・役所への届出・各種解約や精算などを、信頼できる人や専門家に任せておくための仕組みです。「葬儀の規模をどうするか」「菩提寺や納骨先はどこにするか」「前婚の親族にどの範囲まで連絡するか」といった希望を整理しておくことで、残された家族の迷いや負担を軽減できます。前婚の子どもと今のパートナーが互いに遠慮してしまい、葬儀やお墓の方針が決まらないまま時間だけが過ぎるケースも少なくありません。死後事務委任を組み合わせた相続対策を行うことで、死後事務についてもスムーズに進めることができます。
まとめ
再婚相続対策は、法律・税金・家族関係が複雑に絡む分野のため、単一の専門家だけで完結しないことも多くあります。北日本相続センターでは、税理士や行政書士などの専門家が、遺言、公正証書、生前贈与、任意後見、死後事務、相続税のシミュレーションまでワンストップでサポートしています。初回の相談は無料とし、財産目録の作り方や家族構成の整理から一緒に取り組みますので、「何から手をつけて良いかわからない」という段階からでも安心してご相談いただけます。複数の選択肢を提示しながら、無理のない相続対策をご提案することを心がけています。
札幌・北海道全域対応、金沢・富山などの北陸エリア対応
北日本相続センターは、札幌・北海道全域対応、金沢・富山などの北陸エリア対応の体制を整え、オンライン面談や電話相談も積極的に活用しています。札幌をはじめ北海道全域で支援しているほか、「自分は札幌在住だが、前婚の子どもが地方にいる」「実家が金沢にあり、自分は首都圏にいる」といったご事情にも柔軟に対応可能です。遠方のご家族ともオンライン面談にて画面共有をしながら相続対策の方針を説明し、遺産分割や遺言内容について共通認識を持てるようサポートします。地域事情に根ざした相続・遺言・生前贈与の設計を希望される方は、ぜひ北日本相続センターにご相談ください。
【無料相談のご案内】
北日本相続センターでは、初回無料相談を承っています。遺言、公正証書、生前贈与、任意後見、死後事務、相続税のポイントまで、状況に応じて最適な組み合わせを一緒に検討しましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別案件への適用可否や最終判断は、必ず専門家への個別相談のうえで行ってください。
