後見人は家族?それとも専門家?迷ったときに知っておきたい選び方と注意点
後見人を選ぶ前に知っておきたい基本
成年後見制度と後見人の役割
高齢の親が認知症になったり、判断能力が低下したとき、日常生活やお金の管理をサポートするのが成年後見制度と後見人です。後見人は、銀行手続きや施設との契約、必要な支払いなどを本人に代わって行い、財産を守る重要な役割を担います。相続や遺産分割の前提となる財産管理を任される立場でもあるため、誰を後見人にするかは将来の相続にも大きな影響を与えます。まずは制度の仕組みと、後見人がどこまでできるのかを家族で共有しておくことが大切です。
家族が後見人になる場合と専門家の違い
後見人になれるのは家族だけではなく、司法書士・弁護士・社会福祉士・税理士などの専門家も候補になります。家族が後見人になると、本人の気持ちをくみ取った細やかなサポートがしやすく、日常的な連絡も取りやすい点がメリットです。一方、専門家が後見人になると、法律や相続税に関する知識を活かし、トラブルを予防しながら財産を管理してくれます。いずれを選ぶにしても、「誰なら長期間、安定して後見人の役目を果たせるか」という視点が欠かせません。
家族が後見人になるメリット
気持ちを理解した身近なサポート
家族が後見人になる場合、長年一緒に暮らしてきたからこその安心感があります。本人がどんな介護を望んでいるのか、どの程度の生活レベルを維持したいのか、細かな希望を汲み取りやすいのが大きなメリットです。医師やケアマネジャーとの面談でも、日ごろの様子を具体的に伝えられます。相続や遺言の話題も、身内同士だからこそ本音で話し合える場面が多いでしょう。このように、心情面に寄り添った後見人として動きやすいのが家族の強みです。
コスト負担が抑えられ柔軟に動きやすい
専門家を後見人にすると報酬が必要ですが、家族が後見人になる場合は報酬をゼロまたは低めに設定するケースもあります。結果として、長期にわたる後見人の期間でも、本人の財産への負担を抑えられる可能性があります。さらに、買い物の付き添いや通院、細かな書類の受け取りなど、すぐに動かなければならない場面でもフットワーク軽く対応しやすいのが家族です。札幌や金沢など北日本の地域では、雪や移動距離の関係で、近くにいる家族が後見人として日常的に支えるメリットも無視できません。
家族が後見人になるデメリットと注意点
お金の管理を巡る疑念や相続トラブルのリスク
家族が後見人になると、お金の管理を巡って他の兄弟から疑念を持たれることがあります。「本当に本人のために使っているのか」「自分だけ得をしているのではないか」といった不信感が、将来の相続や遺産分割の場面で大きな争いに発展することも少なくありません。こうしたトラブルを防ぐためには、後見人となった家族が領収書をきちんと保管し、定期的に財産目録を作成・共有しておくことが重要です。不透明な動きを避け、誰が見ても納得できる管理を徹底しましょう。
介護・仕事との両立による心身の負担
介護と仕事、子育てをしながら後見人の責任を果たすのは、想像以上に大変です。家庭裁判所への報告書作成や契約書への署名、公正証書での手続きなど、時間のかかる事務作業も多く発生します。結果として、後見人となった家族が疲弊し、心身ともに追い詰められてしまうケースもあります。「何とかなるだろう」と安易に考えず、長期的な負担を現実的にイメージしたうえで、家族の誰が後見人に向いているのか、そもそも家族で引き受けるべきかを慎重に検討する必要があります。
専門家後見人を選ぶメリット
法律・税務のプロによる確実な手続き
司法書士や弁護士、税理士などの専門家を後見人に選ぶと、法律や税務の知識を活かしたサポートが期待できます。特に、相続税の申告が必要なほど財産が多い場合や、不動産・株式など複雑な資産を持つ場合は、専門家の後見人がいることで安心感が高まります。公正証書の遺言に沿った手続きや、金融機関との交渉、必要に応じた不動産売却なども、プロが中心となって進めてくれるため、家族の精神的負担を大きく減らせます。
中立な立場での財産管理と透明性
専門家の後見人は、本人や家族と一定の距離を保った中立的な立場で財産を管理します。そのため、「特定のきょうだいだけが得をしたのではないか」といった疑念が生じにくく、将来の遺産分割でもトラブルを減らせる可能性があります。家庭裁判所への報告書や財産目録の作成も専門家が責任を持って行うため、管理の透明性が高い点も魅力です。家族の関係性に不安がある場合や、もともと相続の争いが起きやすい状況にある場合には、専門家を後見人に選ぶメリットが大きいでしょう。
専門家後見人のデメリット・注意すべき点
報酬負担と家族との距離感
専門家を後見人に選ぶと、月々の報酬や手続きの費用がかかります。後見人の期間が長期化すると、総額としては決して小さくありません。また、事務所が遠方にある場合は、家族とのコミュニケーションが取りづらく、「本当に本人のために動いてくれているのか分かりづらい」と感じることもあります。契約前に、報酬の目安や面談の頻度、報告の方法などをしっかり確認し、家族も納得したうえで後見人を決めることが大切です。
担当者変更やコミュニケーションのミスマッチ
専門家も人である以上、体調不良や事務所の事情で担当者が変わる可能性があります。その際には資料の引き継ぎや、新しい担当者との関係作りが必要となり、一定のストレスを感じる方もいます。また、専門用語が多く説明が難解だと、家族が十分に理解できないまま話が進んでしまうこともあります。面談の段階で「説明が分かりやすいか」「家族の意向をしっかり聞いてくれるか」を確認し、自分たちに合った後見人を見極めましょう。
後見人を選ぶときの具体的な判断ポイント
財産の内容・家族構成・地域事情の整理
後見人を誰にするか考えるときは、まず財産の種類と規模、家族構成、住んでいる地域の事情を整理しましょう。預貯金が中心で家族仲も良く、札幌や金沢など近くに住む子どもがこまめに動ける状況なら、家族が後見人を務める選択肢も有力です。一方で、不動産が複数ある、会社経営をしている、生前贈与を検討しているなど複雑なケースでは、専門家を後見人とした方が安心な場合が多くなります。冬の移動事情も含め、現実的にどこまで家族が動けるかを冷静に検討することが大切です。
遺言・財産目録・生前贈与との組み合わせ
後見人だけに頼るのではなく、遺言・財産目録・生前贈与を活用しておくと、将来の相続がスムーズになります。公正証書で遺言を作成しておけば、遺産分割の方針がはっきりし、後見人も迷わず手続きを進められます。財産目録を作成し、どこに何があるかを整理しておくことも、後見人の負担軽減につながります。さらに、生前贈与を計画的に行うことで相続税対策にもなり、残された家族の手続きもシンプルになります。
任意後見・死後事務まで見据えたトータルな備え
任意後見契約で「誰に任せるか」を先に決めておく
判断能力がしっかりしているうちに、信頼できる人と任意後見契約を結んでおく方法もあります。任意後見では、自分の希望に合わせて、家族を中心とするか専門家を中心とするか、または両者を組み合わせるかを柔軟に決められます。契約内容は公正証書で作成し、将来、家庭裁判所の監督のもとで発効します。制度の概要は裁判所のサイト(https://www.courts.go.jp)でも確認できます。
葬儀や手続きまで任せる死後事務委任契約
後見人の役割は本人が生きている間に限られますが、その後の死後事務について不安を感じる方も多くいらっしゃいます。葬儀や納骨、公共料金の解約、役所への届け出などを専門職に任せる「死後事務委任契約」を組み合わせることで、生前から亡くなった後まで一貫したサポート体制を整えることができます。遠方に住む家族しかいない方や、おひとりさまの場合には特に有効な仕組みです。後見人とあわせて、どこまで誰に任せるかをあらかじめ決めておくと安心です。
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札幌・北海道全域対応、金沢・富山などの北陸エリア対応
北日本相続センターでは、札幌をはじめ北海道全域で支援を行い、さらに金沢・富山などの北陸エリア対応で、お客様の相続・後見人・任意後見・遺言・生前贈与・死後事務など幅広いご相談をお受けしています。オンライン相談や出張面談にも対応し、地域事情を踏まえた現実的な提案を心がけています。相続税や遺産分割、財産目録の作成についても、専門家と連携してワンストップでサポートします。
無料相談の流れとお問い合わせ方法
「うちの家族の場合、誰を後見人に選ぶべきか分からない」「遺言や公正証書の作り方が不安」「生前贈与や死後事務まで含めて整理したい」といった段階でも、お気軽にご相談ください。北日本相続センターでは、初めての方向けに無料の個別相談を実施しています。家族構成や大まかな財産内容をメモしてお持ちいただければ、より具体的なアドバイスが可能です。
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北日本相続センターでは、後見人の選び方から相続・遺言・任意後見・死後事務・生前贈与・財産目録まで、一連の不安をまとめてご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案についての法的助言ではありません。最終的な判断は、必ず専門家との個別相談のうえで行ってください。
