死後事務委任契約でできること・できないこと一覧
おひとりさま世帯や高齢のご夫婦が増える中、「亡くなった後の手続きは誰がやってくれるのか」という不安から、死後事務委任契約に注目が集まっています。相続や相続税、遺産分割のような財産の話だけでなく、葬儀・納骨・各種解約・遺品整理など、遺族に大きな負担がかかる死後事務を、あらかじめ信頼できる専門家に託す仕組みです。
死後事務委任契約とは?基本と仕組み
死後事務とは何か
まず知っておきたいのは、死後事務委任契約が対象にしている「死後事務」とは何か、という点です。死後事務とは、死亡後に必要となる事務的な手続き全般を指します。具体的には、葬儀や火葬の手配、納骨やお墓の管理、役所への死亡届、健康保険・年金・介護保険の手続き、病院や施設への未払費用の精算、公共料金や携帯電話・インターネットの解約などが含まれます。
これらは相続や遺産分割のような「財産権の承継」とは性質が異なり、民法上の委任契約をベースに、本人が生前に「亡くなった後の事務をこういう内容でお願いします」と定めるのが死後事務委任契約です。特に札幌や金沢のように都市部で単身高齢者が増える地域では、家族が遠方にいてもスムーズに死後事務を進められるよう、この契約の重要性が高まっています。
死後事務委任契約の法的性質と公正証書の活用
死後事務委任契約は、本人(委任者)と受任者との間の民法上の委任契約であり、遺言とは別の仕組みです。口頭でも成立し得ますが、実務上は内容を明確にし、金融機関・役所・病院などに対しても説明しやすいよう、公正証書で作成することがほぼ必須といえます。
公正証書にしておけば、契約内容や本人の意思が客観的に証明され、受任者が死後事務を遂行する際にスムーズです。また、遺言・生前贈与・任意後見・財産目録と組み合わせて設計することで、相続発生前後の手続きと死後事務を一体的に整理できます。
死後事務委任契約で「できること」一覧
葬儀・納骨・役所手続きなどの一般的な死後事務
死後事務委任契約でまず押さえたいのが、葬儀や納骨などの一般的な死後事務です。葬儀の方式(家族葬・火葬のみ・一般葬)、宗派や式場の希望、喪主を誰にお願いしたいか、遺影の写真、納骨先やお墓・納骨堂の指定などを細かく決めておくことができます。
加えて、死亡届の提出や戸籍・住民票の取得、健康保険・年金・介護保険の資格喪失手続き、病院・施設への支払、賃貸住宅の退去や荷物搬出など、遺族の負担が大きい事務作業も死後事務委任契約の範囲に含めることが一般的です。札幌市内や北海道の郊外、金沢・富山などで一人暮らしをしている場合でも、受任者がこれらを代行することで、遠方の親族の負担を大きく軽減できます。
デジタル遺品や契約解約などの実務的サポート
最近は、スマートフォンやパソコンの中のデータ、SNSアカウント、ネットバンクやサブスクリプション契約など、いわゆる「デジタル遺品」への対応も重要になっています。死後事務委任契約では、ID・パスワードの管理方法や、解約・削除・保存の方針をあらかじめ決めておくことができ、受任者がその内容に従って手続き可能です。
また、ガス・電気・水道・携帯電話・インターネット・各種会員サービスなどの解約、郵便物の転送や自宅の売却前の管理なども、契約の中で明記しておけば、受任者がスムーズに処理できます。これらは相続そのものではありませんが、相続人が相続税の申告や遺産分割協議に集中できるよう、周辺業務を整理する役割を死後事務委任契約が担うイメージです。
死後事務委任契約で「できないこと」一覧
相続・遺産分割・相続税申告との違い
誤解されやすいポイントとして、死後事務委任契約では「相続の内容そのもの」を決めることはできません。誰がどの財産をどれだけ取得するかは、遺言や相続人同士の遺産分割協議で決めるべき事項であり、死後事務の範囲外です。
また、相続税申告や税務調査への対応は、税理士など専門家の領域であり、受任者が全てを代行できるわけではありません。受任者は必要書類や財産目録の整理、専門家への橋渡しを行い、相続人側が円滑に申告できるようサポートする立場となります。つまり、死後事務委任契約はあくまで「事務」の委任であり、相続人の権利を奪ったり変更したりする効力は持たない点に注意が必要です。
生前贈与・遺言・任意後見との役割分担
生前に財産を移転する生前贈与や、誰に何を残すかを定める遺言、判断能力が低下したときに備える任意後見も、死後事務委任契約とは別の制度です。これらはそれぞれ目的とタイミングが異なります。
生前贈与と遺言は、相続・相続税対策や家族の生活設計に直結する財産の移転手段であり、任意後見は判断能力が十分でない間の財産管理・身上監護をサポートする仕組みです。一方、死後事務委任契約は本人の死亡後に発生する事務処理を対象とするため、他の制度とセットで検討することが重要です。近年では、「任意後見+遺言+死後事務委任契約」を三点セットで整え、財産目録を作成しておくケースが増えています。
遺言・任意後見・死後事務委任契約を組み合わせるメリット
高齢期のトラブルを防ぐ設計
豪雪地域を含む札幌や北日本では、冬季に入院や施設入所が長期化し、そのまま相続が発生するケースも少なくありません。こうした場合、遺言がないと遺産分割協議が長引き、相続税申告がギリギリになることもあります。
そこで、元気なうちに任意後見で将来の財産管理を託し、遺言で相続の方針を決め、死後事務委任契約で死後の実務を任せておけば、家族の負担は大きく軽減されます。北日本相続センターでは、こうしたトータル設計の相談を無料で受け付けています。
財産目録と公正証書で見える化する方法
遺言や任意後見契約、死後事務委任契約をバラバラに作るのではなく、財産目録を整理し、公正証書で一体的に作り込むことで、関係者全員にとって分かりやすい仕組みになります。財産目録には預貯金・不動産・有価証券だけでなく、デジタル資産や借入金、保証人になっている契約なども記載しておくと安心です。
公証役場での手続きは一見ハードルが高く感じるかもしれませんが、専門家が下書きや必要資料の準備をサポートします。死後事務委任契約の内容と財産目録を連動させておけば、受任者がどの財産から費用を支払い、どの範囲まで死後事務を行うかが明確になり、トラブル予防に大きく役立ちます。
契約を結ぶときのポイントとチェックリスト
受任者選びと報酬・費用の決め方
死後事務委任契約で最も重要なのは、誰を受任者にするかという点です。家族や親族に頼む場合でも、高齢である、遠方に住んでいる、事務処理が苦手などの事情があれば、専門家への依頼も検討すべきです。
報酬や実費の支払い方法も契約書に明記しておきましょう。葬儀費用や納骨費用、各種解約に伴う違約金などは一定の金額が予想されるため、死後事務委任契約の中で「この口座から支払う」「この金額までは受任者の裁量で支出できる」などと決めておくと安心です。北日本相続センターでは、札幌・北海道全域、金沢・富山など北陸エリアの物価・葬儀費の相場を踏まえた費用設計をご提案しています。
できること・できないことを文面で明確にする
トラブル防止のためには、死後事務委任契約に「できること」「できないこと」を具体的に書き込むことが大切です。例えば、葬儀方式の決定権限、納骨先の指定、賃貸物件の原状回復や解約、遺品の処分方法、デジタル遺品の扱いなどを列挙し、受任者の権限と義務をはっきりさせます。
一方で、相続人の同意が必要な事項、遺言で指定すべき事項、税理士や弁護士に依頼するべき業務などは、「死後事務の対象外」として整理しておくのが望ましいでしょう。こうした整理を行うことで、死後事務委任契約が相続や遺産分割の領域に踏み込み過ぎるリスクを避け、遺族との信頼関係を保ちやすくなります。
札幌・北日本、金沢・北陸での実務例
一人暮らし・おひとりさまの死後事務ニーズ
札幌市中心部や金沢市内では、一人暮らしの高齢者が増えており、「頼れる身内がいないので死後事務委任契約を検討したい」という相談が年々増加しています。中には、生前贈与や遺言で財産の行き先は決めているものの、葬儀や納骨、賃貸の解約、荷物の整理といった現場の作業を頼める人がいないケースも多く見られます。
こうした場合、専門家を受任者として指定し、相続人や友人と連携しながら死後事務を進める仕組みを作っておくと安心です。死後事務委任契約があることで、相続人が遠方から駆けつけても、必要な手続きが整理されているため、短期間で生活の後片付けを進めることができます。
家族が遠方にいる場合の相談事例
北日本や北陸では、「子どもは東京や関西に住んでいて、札幌や金沢の自宅にはなかなか戻れない」という家族構成も珍しくありません。親御さんが亡くなった際、仕事や子育ての関係で長期滞在が難しく、死後事務に十分な時間を割けないことが想定されます。
このような背景から、親御さんと一緒に死後事務委任契約を結び、「死亡直後の手続きは専門家が行い、その後の相続や遺産分割は家族が主体となる」という役割分担をしておくケースが増えています。北日本相続センターでは、オンライン面談も活用し、遠方の相続人とも情報共有しながら、相続税の専門家や弁護士と連携したサポート体制を整えています。
北日本相続センターに依頼するメリット
相続・遺言・死後事務をワンストップで支援
北日本相続センターは、相続・遺言・任意後見・生前贈与・死後事務委任契約までをワンストップでサポートする専門機関です。札幌・北海道全域対応、金沢・富山などの北陸エリア対応を行っており、それぞれの地域の慣習や物価、家族構成の傾向を踏まえた提案が可能です。
遺言や財産目録の作成、公正証書の手続き、相続税の専門家紹介、死後事務の実行まで一貫して支援することで、「誰に何を相談すればいいか分からない」という不安を減らします。制度ごとではなく、人生のステージに合わせてトータルに設計できる点が、死後事務委任契約を含めた総合支援の大きな強みです。
無料相談から契約締結・死後事務完了までの流れ
初めて死後事務委任契約を検討される方の多くは、「自分の場合に本当に必要なのか」「どこまで決めるべきなのか」が分からず不安を抱えています。そこで北日本相続センターでは、まず無料相談で現在の家族構成や財産状況、希望する医療・介護・葬儀のイメージなどを丁寧にヒアリングします。
その上で、遺言や任意後見、生前贈与との組み合わせを含めた最適なプランをご提案し、公正証書による契約作成までサポートします。契約後は、相続発生時に受任者として実際に死後事務を遂行し、必要に応じて相続人や専門家と連携しながら完了まで伴走します。
まとめ
死後事務委任契約を上手に使うポイントの再確認
ここまで見てきたように、死後事務委任契約は「亡くなった後の事務」を安心して任せるための仕組みであり、相続や遺産分割・相続税の内容を決めるものではありません。葬儀・納骨・各種解約・デジタル遺品の整理など、具体的にできること・できないことを整理したうえで、遺言や任意後見、生前贈与、財産目録の作成と組み合わせることで、トータルな終活設計が可能になります。
お気軽にご相談ください
北日本相続センターでは、札幌・北海道全域対応、金沢・富山などの北陸エリア対応で、死後事務委任契約や遺言、相続、任意後見、生前贈与に関するご相談を承っています。
初回無料相談受付中ですので、「自分の場合、どこまで準備しておけば安心か知りたい」「家族に迷惑をかけない仕組みを作りたい」とお考えの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案についての法的助言ではありません。最終判断は、必ず個別の専門家相談のうえで行ってください。
